羽毛産地偽装

結論を先に書きますね。お時間ございましたら、最後までご覧くださいませ。

当店で作っている羽毛ふとんは、報道されているような産地表示を偽装したものではありませんので、ご安心ください。原料メーカーに問い合わせたところ「輸出証明(産地証明)もあり、問題ないので安心してください」とのこと。なお、現在当店で作っている羽毛ふとんに、フランス産羽毛、ならびに中国産羽毛は使用しておりません。

さて、
「実際とは異なる産地が表示された多数の羽毛布団が市場に出回っている疑いが出ている。」という報道がありました。具体的に言えば、フランス産として販売されている羽毛布団の「半分以上は偽装と思われる」ということです。

なぜ、こういったことが起こるのでしょう・・・

至って単純なことです。安い羽毛を混ぜて仕入れ価格を抑えているのです。それは価格競争、安値追求から生まれます。ここ数年で羽毛(原料)の価格が2~3倍以上高騰しました。円高の影響や生産量の減少など、原因は多々あります。にも関わらず、依然として安価な羽毛ふとんが販売されています。えっ、何でその品質でその値段でできるの?無理してるなぁ・・・というものも時々見受けられます。

これまでも、Facebookでは何度か紹介させていただきました、羽毛ふとんの価格を抑える方法。
1.側生地の品質を落とす。
2.羽毛の量を減らす。
この2点です。そこに、業界では以前からまことしやかに噂されていた産地偽装・・・。

例えば安価な中国産の羽毛を使用して、中国産と表示して、安く販売するのは全く問題ありません。今回問題となっているのは、欧州産(フランス産)と表示しておきながら、実際は中国産9割・フランス産1割などと偽装されていることです。お客さまはフランス産の良質羽毛と思い、良い羽毛ふとんを買ったのに、実際は質の悪い羽毛ふとんを買ってしまったことになります。

羽毛はふとんの側生地の中に入っているため、確認が非常に難しいものです。購入するにあたって、メーカーを信用するか、販売店・販売員を信用するか、自分を信じて買うか・・・という難しい判断を余儀なくされます。

当店の販売する羽毛ふとん(既製品)は「間違いないですよ」と言いたいところですが、絶対大丈夫という証明は出来ません。それがみなさんのよく知る大手メーカーであってもです。既製品に関しては、当店も仕入先からの情報を信じるしかありません。しかし、当店は自店で羽毛ふとんを作ることができます。だから羽毛を触っているので、感覚として分かるところがあります。

実際に羽毛を触っている身として、既製品羽毛ふとんやリフォームに出された羽毛を触ってみると「あれ?表示タグに書かれているような羽毛と違うな・・・」ということを感じることがあります。見た目も表示の通りだったら、もっとふっくらしているはずなのに・・・というものも。ただし、見て触っただけでは産地は分かりません。

メーカーの言うこと、メーカーが記載していることを信じて疑わない。という方はどこで購入されても構いません。当店としては良い商品を選択し、良いお買物をしていただくことを重要視しています。最後はやはり信頼関係(お客さまとの信頼関係はもちろんのこと、取引先との信頼関係)になるでしょう。当店としては、信頼の置ける原料メーカーとのお付き合いを大事にし、自ら羽毛を見て、触った感覚を信じてまいります。その結果として、お客さまに低質な羽毛ふとんがわたるのを防ぐストッパー役になることでしょう。

末次ふとん店は、ここ彦島にて50年以上、みなさまに支えられ、ふとん屋を営んできました。この間の、みなさまのご愛顧に感謝申し上げます。地域密着の当店ではみなさまの信頼を裏切ることなく、今後も良い商品、安心な商品を提供してまいりますので、よろしくお願いいたします。

安心して「末次羽毛工房手作りの羽毛ふとん」をお買い求めくださいませ。

なお、最後にみなさまに注意していただきたいことがあります。それは、今回の報道により「フランス産羽毛が良くない」というイメージを持ってしまうことです。フランス産羽毛は良質な羽毛です。フランス産羽毛が悪いのではなく、それに中国産羽毛を混ぜるという人間が悪いのです。もちろん単純に産地で判断してしまうことは危険です。中国産羽毛にも良質な羽毛はあります。が、価格を抑えるための産地偽装という手段ですから、今回問題視されている羽毛は低質な羽毛です。

価格には意味があり、安さには理由があります。

・・・続く

2016年05月09日|ブログのカテゴリー:羽毛ふとん